日本刀の聖地・長船で刀剣の歴史を体感-1

日本刀の聖地・長船で刀剣の歴史を体感

今や歴史愛好家だけでなく、若い女性の間でも関心を集めている日本刀。
武器としての役割を終えた現代においても、美術・工芸品としてその価値は高まっています。
瀬戸内市の長船は、日本刀の聖地と呼ばれるほど数多くの名刀を生み出して来ました。
上杉謙信や織田信長など、歴史に名を残す武将達が備前刀を愛刀としていました。
備前長船刀剣博物館では、備前刀を中心としたコレクション展示や
企画に合わせて多彩な刀をあつめる特別展などで刀剣を展示、また刀鍛冶の工房も見学できます。

備前刀は質量ともに日本一

瀬戸内市(備前)はかつて、平安時代から江戸時代にかけて刀の生産量が日本一でした。日本刀は備前、大和(奈良)、山城(京都)、相模(神奈川)、美濃(岐阜)の5大産地(五箇伝)が有名です。 が、特に備前では刀制作のための好条件が揃っていました。素材として良質な砂鉄が中国産地で採取され、それらを主要都市へ供給する山陽道や吉井川といった陸路や水運に恵まれていました。また、古くから製鉄技術が発展していたこともあり、多くの刀匠が備前に居住していました。国宝や文化財に現在指定されている日本刀の約4割が備前で作られたものであり、質量共に全国トップレベルの技術と生産体制であったことが伺えます。歴史上でも、源頼朝や足利尊氏、織田信長、上杉謙信、坂本龍馬など多くの武士が備前刀を愛刀として所有していました。

国宝「山鳥毛(さんちょうもう)」の里帰り

上杉謙信の愛刀として知られる山鳥毛。刃紋に映る模様が山鳥の羽毛のように見えることが、その名の由来とも言われています。豪快な刃紋は見る角度によって、模様の浮かび上がりや色の濃淡が変化するため、見飽きることがないという評判も。また、実戦の跡とみられる刃こぼれが、戦の激しさを物語っています。なお、戦国の世を経て現代まで、刀身全体が綺麗に保全されている姿も大変珍しく貴重です。
山鳥毛は代々上杉家に受け継がれたのちに、個人の所蔵に移りました。そして2020年に、瀬戸内市がクラウドファンディングによって5億円を集め、購入。備前刀の故郷に実に800年ぶりに里帰りしました。一般的な展示では刀剣の真正面を見せることが多いのですが、長船刀剣博物館では山鳥毛を専用ケースで展示しており、360度、全方位から鑑賞することができます。他の展示では見る事のできない刃先の正面や刀剣自体の厚みなどもじっくり鑑賞する事ができます。
(※山鳥毛の展示は常設展ではないため事前に展示情報をご確認ください)

刀剣の制作工程を間近で見学

山鳥毛以外にも、数多くの名刀を間近で見ることができる長船刀剣博物館。刀剣専門の博物館は全国でも珍しく、時期やテーマに合わせて常時約40点の展示を鑑賞することができます。近年アニメやゲームを絡めた企画展なども開催され、若い女性からゲームプレイヤーまで、多くの刀剣ファンが足を運びます。
中でも特徴的なのは工房見学。刀の制作は複数の職人による分業制となっており、鋼を打って刀身を成形する鍛錬以外にも、銘の彫刻や刃の研ぎ、柄巻や鞘の塗りまで様々な工程を経て完成します。月に何日か、研師(とぎし)、柄巻師(つかまきし)、鞘師(さやし)が来場し、その技術を惜しみなく披露してくれます。普段目にすることのない職人達の手仕事は、日本刀に対する理解を一層深めるものとなるでしょう。
 

火花が散る大迫力の古式鍛錬

日本刀の製作において出来を左右する鍛錬。材料となる玉鋼を火床の中で熱し、真っ赤になった状態で叩いて鍛えます。横座の刀匠が小槌を叩いて合図を送り、先手の刀匠が息を合わせて大槌で力強く打ち延ばしていきます。ちなみに「相槌を打つ」の語源は、この鍛錬の様子から来ているそうです。刀工が大槌で叩くたびにカーン!と鳴り響く高音、閃光のように散る火花は迫力そのもの。
鍛錬は、西洋のサーベルや剣の製作工程には見られず、日本刀独自のものです。折れず、曲がらず、よく切れるという日本刀は、こうした工程を重ねることで生み出されるのです。備前おさふね刀剣の里では古式鍛錬を月1回開催しており、一般の人も見学可能です。迫力満点、神秘的な古式鍛錬を間近で見学してみてはいかがでしょうか。

※開催日程については公式ページをご確認ください。

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名前の由来は店舗を構える福岡の地を拠点に活躍した刀匠の流派「一文字派」から。うどんに使われる小麦は瀬戸内市内産で、自家製麺。つゆも丁寧にとったダシの良さが際立つ優しい味です。また、天ぷらに使う野菜も地元産と、随所にこだわりを感じます。安くて美味しくて毎日食べても飽きないと、地元でも評判です。

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